川辺の家

中之口川を添うように「川辺の家」がある。
遠景には弥彦山を望め、対岸には樹木に覆われた緑地が辺りの家を隠すように川沿いに広がる。
主要道路が近隣を走りながらも、騒音を感じさせないほどの景観が広がっている。

対岸との間を横たわるかのように流れる川は、毎日穏やかに静かに流れているわけではない。
時には季節風とともに流れに逆らい、荒々しく波立たせ、時には雨が水面を叩くように大きな音を立てる。
まるで生き物のように季節や気候で姿形を自由に変えていく。
その存在はとても大きく、川辺の植物、生き物が豊かに育つのは幾えもの歳月、街を見守るように
ずっと流れ続けているからであろう。

川に向かって落ちていく敷地に対し、建物を敷地に飲み込ませることで、生活空間と水面の距離を近づける。
窓を開けると風が室内へ滑り込むように入り込み、反射した光は時間を変えながらゆらゆら壁に映し出される。

川と共存する暮らしは、自然の変化と共に人の心も揺れ動かすだろう。