Residence | 25.07
敷地は、田園風景が広がる穏やかな農家の集落。
実家の敷地内に建つこの住宅は、周囲の風景になじむように、素朴な佇まいを目指しました。外観は、機能をそぎ落としたシンプルさを保ちながらも、単調にならないようにふたつのボリュームをスライドさせることで、視覚的なリズムを生み出しています。
1階は、土間を中心としたワンルームの空間が広がります。南北に通る土間から、LDKそれぞれの床や天井の高さを変えることで、空間をゆるやかに分けています。ダイニングは土間から2段上がり、東側に窓を設けています。座って過ごす場所であるため、床の高さは気にならず、リビングとの高低差によって、食事に集中できる空間になっています。キッチンはダイニングよりも一段下がっており、食卓に座る人と目線が自然に合うよう計画しました。リビングは土間と同じ床レベルとし、ダイニングから2段下がるのでこもり感のある空間に。窓はあえて低く設けることで、自然と南側の風景に視線が向かうよう設計しています。 また、土間スペースはご主人の趣味である観葉植物を育てる場所としても活用され、吹き抜けの開放感と相まって、室内にいながら自然とつながる余白のある場となっています。
2階は、間仕切りを極力減らし、登り梁の切妻屋根に覆われたおおらかな空間としました。 天井を低く抑えた軒先から、中央の高い棟へと空間がのび、シンプルでありながら、奥行きと構造の力強さを感じさせます。
用途が重なり合う空間設計の中で、コンパクトながらも広がりのある、のびやかな暮らしを育む住まいとなりました。
二階建て
敷地面積:約89坪
延床面積:約37坪