素材の可能性と向き合う二世帯住宅
学校町の家

学校町に建つ、3階建ての二世帯住宅のご紹介です。 空間づくりに求められる選択は、少しづつ難しさを増しています。 周辺環境、広さ、コストなど、限られた条件の中でどこに価値を置くか、何を選び、何を省くかの積み重ねが建築の輪郭をかたちづくります。 学校町の家では、素材の可能性を見極め、設計の意図と空間設計によって、心地よさと美しさを引き出したいと考えました。目に見えるものだけではなく、その背景にある設計の思考も、空間としての確かさを支えていくのではないかと思います。


切妻屋根のシンプルな外観はアイコンのような親しみを覚えます。 インナーガレージ部分はRC造とし、堅牢な構造としながら、天井をわずかにオーバーハングさせることで、軽やかな印象を与えています。 大きく開けた開口部により、車の出し入れもスムーズに行えます。


玄関スペースは天井高を低く設定し、階段から先に続く居住空間の開放感をより強調しています。階段脇の部屋は祖母の部屋です。ミニキッチンを設け、お茶を入れたり簡単な料理ができるようにしました。


2階は共有のLDKです。床材、家具、建具、すべて同じベニヤを採用しています。 肌触りもよく、柔らかい素材ですので、素足で歩く心地よさも感じることができます。 リビングと階段室の間はガラスの壁とし、階段の途中に設けた窓から、光が広がるように設計しました。 造作ソファーは、お施主様がこだわられていた部分で、大きさや座り心地など何度も打ち合わせを重ねながら決定しました。


ダイニングの隣には、約12畳の半野外のテラスを設けています。長手方向に開口部を設け、風通しも良い空間となっています。ここでは、BBQをしたり、サウナを楽しめる空間となっています。


造作キッチンは、シンク側をアイランド状に独立させ、家事動線をスムーズにしました。 収納量も豊富に確保し、ダイニング側にはよく使うものや来客用のカトラリーなどを収納できます。 また、上部には飾り棚を設け、見せる収納としても利用できます。

2階ホールに設けた造作洗面台は階段室からの光を取り入れ明るさも確保しています。カウンターは人造大理石のテラゾー調です。 3階は子世帯の居室スペースがあり、切妻屋根の形に守られるような安心感のある空間となります。


LDKやテラスなど、自然と人が集まりたくなるような場所を家の中にいくつも設けています。日常の中でちょっとした会話が生まれたり、休日に家族や友人と食事を楽しんだりと、暮らしの中に心地よい時間が流れるような空間を目指しました。 二世帯それぞれが気兼ねなく過ごしながらも、ふとしたときに顔を合わせられる距離感も大切にしています。 日々の暮らしが、この家とともにやさしく積み重なっていくことを願っています。

学校町の家
二世帯住宅 / 建設地:新潟市中央区 / 敷地面積:47.16坪 / 延床面積:49.12坪 / 2024年3月竣工